はじめに
私事になりますが、タイトルの通りこの8月(2022年8月)で、一旦フリーランスをやめることになりました。(9月から某企業に正社員として働くことになりました。その辺は実際に働きだしたら、どっかのタイミングで書きます。)
そこで今回は、その経緯やその他諸々を記事にしたいと思います。
(Twitterでも結構リクエストがあったので)
※2022/8/30 「年商と年収の違い」を追記しました。
参考
なんでやめるの?
一言で言えば、「自分がやりたい業務が、フリーランスだとなかなか携われないから」となります。
具体的には、下記の理由からです。
- 携われる領域に限界がある
- 組織の突っ込んだ部分に携われない
携われる領域に限界がある
私は「クラウドのバックエンド部分のアーキテクチャやベースとなる部分の設計」に深く携わりたいと考えていました。(実際、それが得意&好きな分野ですし)
が、そういう分野っていわばそのシステムのコアな部分になることもあり、外部の人が携われる機会がなかなか無かったです。(その部分はすでに決まってて「それに合わせて詳細部分の設計やコーディング・テストなどを...」というケースが多かったです)
もちろん、その点に関してはセルフブランディングや売り込みの仕方など、今考えたら色々反省点もあったりします。
が、やはり自分の力ではどうしようもできない部分もあったりして、いろいろ考えされられました。
組織の突っ込んだ部分に携われない
また、私は単に技術を追求したいというよりも、もっとビジネス・チームビルディング・開発の共通基盤作りなど、組織作りの突っ込んだ部分にも積極的に携わりたいと考えていました。(技術を追求したい気持ちも当然ありますが)
が、これも外部メンバーだとなかなかそういった部分に携われませんでした。
もちろんここは考え方の違いなので、逆に「そんなのどうでもいいから、自分はひたすら技術を追求したい」という人には逆に良かったかもしれません。
が、自分のキャリアを考えた際に、そういった部分にも積極的に携わりたいと感じたので、このままでは問題だなあ...と考えていました。
これが理由じゃないよ
経営が行き詰まった(経済的な理由とか)?
これは100%ないです。
ありがたいことに、まだまだ引き手あまたな状態でしたし、続けようと思えばあと数年は続けられたと思います。
また経営資金がなくなったとか、そういう経営難とかの状態でもありません。
将来が不安だった(安定性とかそういう意味で)
これも理由としてはほとんどないです。
もちろん100%無いなんて事はありませんが、将来の不安が理由で正社員に戻った(=ある程度安定を取った)わけでもないです。
やっぱり年齢の壁?
これは微妙で、たまにSNSとかで聞くような「年齢制限で案件を断られる」ことは、私は一切ありませんでした。(本当は年齢で制限をかけること自体NGですが)
ただ私の考えとして「年齢的に技術がある程度出来るのは当たり前で、加えて+αの能力がないと...」というのがあり、その「+α」を意識しなきゃいけない意味では「年齢」はそれなりに影響したのかもしれません。
これからフリーランスになりたい人へ
逆に、現在「フリーランスなりたい」とか「フリーランスを検討している」人もいると思います。
そんな方に、自分からアドバイスがあるとすれば、こんな感じかなあと思います。
セルフブランディング大事
個人的に、フリーランスはセルフブランディングがめちゃくちゃ重要だと感じます。(もちろん技術力も大事ですが)
フリーランスは自分の希望する業務・報酬等を得るために積極的に自分をアピールしなきゃならないです。(業務内容・報酬にも大きく影響するので)
なので、アピール材料にもつながるセルフブランディングはこまめに行うようにしましょう。
またアピール資料(=ポートフォリオ、その他諸々)も、「(=ただの職歴の羅列ではなく)自分をアピールする材料になっているかどうか」をこまめに確認するとよいと思います。
セルフブランディング次第では、思いもよらなかった好条件・業務内容の案件にアサインされる可能性もあります。
もちろん、だからといってウソを書く(≒経歴詐称)のは絶対ダメです。
人間関係からは解放されない
たまに
という人がいます。
が、残念ながらフリーランスになったからといって、人間関係から解放されるということはないです。(よほどのことがない限り)
むしろ、
- 参画したチームでうまくやっていくために、人間関係を構築する
- 「問題あり」と判断されたら、その時点で契約終了なので...
- 別の案件に参画したら、また人間関係の構築を一から行う必要がある
ので、その点では下手したらフリーランスの方が面倒くさいかもしれません。
それにプロパー側からしても、例え技術力があっても人間性に問題があるとか、こんな奴と一緒にいたくないと感じるような人物には参画して欲しくない、と考えるのは当然です。(スポット的な短期案件ではあり得るかもしれませんが、中長期の案件ではまずないです)
ただ、そこまで不安にならなくても「社会人として基本的なことがちゃんとできる」レベルであれば、全く問題ないです。(逆を言えば、それすらできない人間が多いのも事実なんですけどね...)
また、そうはいっても人間どうしても合う合わないはあると思いますので、どうしても合わない現場は自ら契約終了を申し出て、次の案件を探すべきだと思います。(こればかりは仕方ないですし、あなたに責任はないです)
デメリットもちゃんと調べる
フリーランスというと、どうしても「手取りが多い」「業務や働き方をある程度自由に選べる」みたいな目先のメリットに目が行きがちになってしまいます。(当然と言えば当然ですが)
が、そういうメリットがある反面、当然フリーランスにはデメリットも存在します。
ドラクエ3のゾーマも言う通り「光あるところ、闇もまたある」のです。
なのでメリットばかりに気をとらわれず、ちゃんとデメリットも調べましょう。
そうしないといざフリーになったとき「こんなはずじゃなかった...」ということになりかねません。
あまり細かくは書きませんが、フリーランスのデメリットとして、例えば下記が挙げられます。
会社員より安定性に欠ける
- いくら終身雇用が崩壊したとはいえ、やはり会社員より確実に安定性は下がる
- 何かあった際、真っ先に削られるものの一つが「外注費」(=フリーランスへの報酬含む)
- (例)業務方針転換、赤字による予算削減、不景気など(例えばリーマンショック等)
- 下手したら数か月収入ゼロ...なんてことも十分あり得る
技術以外の活動
- 営業活動、仕訳、請求書発行など、技術以外の作業である程度時間を取られる
- 営業活動はエージェントを使う手があるが、それでもある程度時間を取られる。
- エージェントを使う場合、毎月手数料も発生する。(当たり前だけど)
確定申告
- これが本当に面倒くさい(と感じる人がかなりいる)
- 仕訳とか青色申告(=複式簿記)を頑張る必要がある。
- お金(経費等)の管理はしっかりと
- てか、マジで仕訳だけはこまめに(1週~2週に1回とか)やった方が良い
- 税理士に依頼もできるけど、当然それなりにお金が必要
- 「経費」について勘違いしてる人も多いので補足すると...
- 「経費」といっても会社員と違い、自分の財布から出すお金
- 自分のお金が減ることに変わりはない
- 経費でいろいろ買うのは、節税効果としてはかなり悪い
- 目安として、使用額の1割くらいが節税額になる
- 例えば10万節税するためには、約100万使う必要がある。(めちゃくちゃ本末転倒)
- 「経費」といっても会社員と違い、自分の財布から出すお金
ていうか、最近SNSやWebなどでやたら怪しいメリットばかりアピールしてる、あまりにも怪しいフリーランス礼賛記事やアカウントばかりが目につきますので...
こういうやたらメリットばかり挙げてる発言は鵜呑みにせず、ちゃんと自分でも調べましょう。
ちょっと調べれば、フリーランスのメリット/デメリットが色々見えると思います。
もちろん、それを十分踏まえたうえで、
- それでも自分はフリーランスになりたい
- 一度しかない人生、チャレンジしてみたい
- それでも自分にはどうしても会社員は合わない
という人は、フリーランスにとして独立するのは十分ありだと思います。
「年商」と「年収」の違い(2022/8/30追記)
良くフリーランス関連のSNSでの発言や記事で「年商と年収の違いが分からない」とか、明らかに年商と年収の区別がついていない内容があったりしますので、記載します。
確定申告の際の課税額にも関係してきます。
簡潔にいうと、「年商」と「年収」の違いは下表の通りです。
項目 | 説明 | 関連する税制度 | 税制度の説明 |
---|---|---|---|
年商 | 売上・報酬額。ざっくり言うと顧客などから口座に振り込まれる金額 | 消費税 | 年商が年間1,000万以上で消費税が課税される(※注) |
年収 | 年商から各種経費を差し引いた額 | 所得税 | 年収をベースに所得金額や課税される所得金額を算出する |
例えば、
- 契約単価が80万/月(税別)
- 上記契約で1年間稼働した
- 年間経費が250万円だった
の場合、
- 年商:80(万) × 1.1(消費税) × 12(か月) = 1,056(万円)
- 年収:1,056 - 250 = 806(万円)
となります。(口座には合計1,056万円が振込されているはずです)
たまに怪しいフリーランス礼賛記事やアカウントが「フリーランスなら単価80万(税別)で契約するだけで、1年で年収1,000万!」と謳っていますが、それは「年収」ではなく「年商」1,000万なので、間違えないようにしましょう。
なお、そういう記事やアカウントでよく目にする「年収(実際は年商)1,000万」ですが、(勘のいい方は気づいたかもしれませんが)「年商1.000万(にギリギリ届く)」というのは、実は税金を支払う側の視点で考えると、実は一番おいしくないパターンなのです。
というのも、年商1,000万円以上で消費税の納税義務も発生するので「年商1.000万にギリギリ届く」というのは、ギリギリ消費税も課税されてしまうケースになります。
なので自分も「年商1,000万をギリギリ超えないようにする」か、あるいはいっそのこと「年商1,000万を大幅に超える」という人をよく見ます。
あ、もちろん納税義務はちゃんと果たさないといけないので、虚構申請とかそういうのは絶対ダメですし、年商1,000万以上稼いだ場合は、ちゃんと消費税も払いましょう。
※注 インボイス制度について
...と、ここまで「年商」と「年収」の違いについて書きましたが、2023年10月から導入されるインボイス制度により、どうやら年商1,000万未満でも消費税を支払わなければならない可能性が出てきました。
詳細は各自で調べて頂くとして、とりあえずインボイス制度でフリーランスは以下の選択を迫られそうです。
- 課税事業者として登録する(=年商1,000万未満でも消費税の支払い義務あり)
- 適格請求書を発行できるので、顧客も仕入税額控除が可能
- 顧客的には問題なし
- 免税事業者のままでいる(=年商1,000万未満では消費税の支払い義務なし)
- 適格請求書を発行できないので、顧客は仕入税額控除が不可能
- ひょっとして、それを理由に契約できなくなる可能性も出てくる...?
もちろん実際には顧客(やそのビジネス内容)次第なので、一概には何とも言えませんが、インボイス制度については一通り把握しておく必要があるように思います。
ちなみにインボイス制度については、マネーフォワードさんの下記の記事が参考になります。
インボイス制度とは?2023年導入までに消費税免税事業者がとるべき対応をわかりやすく解説 | 会計ソフト マネーフォワード クラウド
まとめ
というわけで、フリーランスやめることになった経緯をまとめました。
あくまでも私事なのですが、フリーになりたい人&フリーになった人にとって何か参考になれば幸いです。
また「〇〇〇にJoinしました!」記事については、実際に入社してある程度したら書こうと思います。
それでは、今回はこの辺で。